コストの有利なトタン屋根;簡易カバー工法

屋根に良く使われている金属と言えば、トタンです。 現在では、トタンの代わりにガルバリウム鋼板を
使用することが多いようです。 瓦に比べて1/10以下の重量で、屋根に負担をかけずに済みます。
加工がし易く屋根屋さんにとっては良い材料です。 価格も安価でかつては、盛んに使われました。トタ
ンは、溶融亜鉛メッキの製品カテゴリに入り、鉄板を亜鉛でメッキしたものです。ガルバリウム鋼板は、
更にアルミニウムとシリコンを混合した鋼鈑で、今トタンに代わり、盛んに使われています。屋根の葺き
替えでも価格差はほとんど無くなってきています。

なにより、ガルバリウム鋼板は、再塗装をしなくても最低25年は耐用年数があるとガルバリウム鋼板の
開発メーカーが実証しています。トタンは、メンテをせずに放置した場合は、これほどの耐用年数は、あ
りません。ガルバリウム鋼板による、トタン屋根(瓦棒形式の屋根)のコストを抑えた工法をご紹介しま
す。この工法は、古いトタン(瓦棒)をずべて撤去せず、この上に同じ瓦棒形式で、ガルバリウム鋼板で
施工するやり方で、瓦棒の撤去費用、その廃材処理費がかからず、費用的に大変助かる工事、葺き替えの
方法になります。以下、そのやり方、価格をお知らせいたします。

トタンの錆びで葺き替える必要があるでしょうか? 回答はその錆びの劣化度にもよりますが、軽度の錆
びで例えば上のような劣化で、まだ塗装が残っていて、穴が空いていない場合は、少しの錆びをサンドペ
ーパーなどで落とし、塗装の下地処理をしっかりやって、再塗装でも対処できます。トタンやガルバリウ
ム鋼板などの金属材料は、その材料自身は、たとえ表面が錆びていても、鋼鈑は薄くなりますが、穴が空
く前に再塗装をやれば、鋼鈑自体の再利用は可能と考えます。 ただ問題は、価格で上のようなコストの
低いカバー工法との価格競争です。

このトタン屋根の再塗装をする際の費用の概算は、一般的なシリコン塗装で、平米あたり、¥3,000未満
で、65平米を再塗装すると、約¥195,000- 下にあるように、簡易カバー工法で、¥510,000で葺き替え
ができます。シリコンの塗装の耐用年数は、10年程度で、10年後には、また塗装を直ぐに実施しないと、
トタンは、錆びを落としたところは薄くなっていますので、穴が早く空いてしまいます。また、軒先の劣
化は塗装では補修できませんので、ここからの雨の侵入も多くなり、よりトタン屋根の劣化を促進してし
まいます。

塗装屋さんは塗料を施工するのが本職で、トタンの補修、修理はできませんので、写真で見た軒先の修理
はそのままになってしまいます。この補修と費用の面で、総合的に判断することが重要で、その意味でも
各工事例の概算や補修方法、修理箇所の特定と劣化度を推察することは、トタン屋根の葺き替えには、重
要な情報となります。 決して訪問会社や、屋根の専門ではない工務店、建築会社の営業の言葉をそのま
ま鵜呑みにせず、必ず屋根の、それもトタン屋根を得意としていて、数多くトタン屋根を見てきている屋
根屋さんの意見を聞くべきと思います。

トタン屋根の簡易カバー工法のやり方と費用概算

成るべくコストを抑えた瓦棒の工事、トタンはいまは、25年以上の耐用年数をもつガルバリウム鋼板で施
工され、トタンと同額か、かえってコストの安い屋根材になっています。トタンは溶融亜鉛メッキ鋼鈑、
ガルバリウム鋼板は、亜鉛+アルミ+シリコンの合金メッキで、ガルバリウム鋼板の製造工程は、トタン
の製造工場のラインを使えるので、製造コストは多少違えど、今の市場で耐用年数の悪いトタンはほとん
ど使われなくなりました。



工事前のトタン瓦棒屋根


工事後のガルバリウム鋼板の瓦棒

工事の工程は下に示しますが、瓦棒のガルバリウム鋼板による簡易カバー工法は、簡単に言うと、トタン
瓦棒にそのままガルバリウム鋼板を被せるだけの正にカバー、被せるやり方で、下地、トタンの劣化がそ
れほどひどくなければ今の材料をそのまま使ってしまいます。野地板、コンパネ、ルーフィングも施工し
ません。既存のトタンは、水があまり入ってこない工法、材料なので、金属の屋根材が二重に施工される
ことによって、防水はOKです。ただ、年数が経過しているトタン瓦棒の屋根は、軒先、瓦棒部分(30mmほ
ど高くなっている部分)が劣化していますので、部分修理が必要になりますが・・・ 下記を参照

●ガルバリウム鋼板によるトタン瓦棒の簡易カバー工法の費用:

この工事の屋根面積は、全部で65平米、築28年、全面に渡って瓦棒形式の寄棟屋根、2階建てですが、傾
斜が緩やかなので、足場なし、ところどころ軒先が劣化していたので、部分修理で対処しました。

・カッパ(瓦棒部分)取り外し: 一式:¥30,000-
・カッパ(瓦棒部分)新設:65平米 X ¥1,000 = ¥65,000-
・透湿シート(2つの金属の遮蔽):65平米 X ¥700 = ¥45,500-
・瓦棒本体施工費用(材料込):65平米 X ¥4,500 =  ¥292,500-
・棟部分の板金施工: 27m X ¥3,000 = ¥ 81,000-
・税抜き工事合計                   ¥514,000-


瓦棒形式の屋根の瓦棒、棒とは上の写真のように少し出っ張っている部分です。カッパ部分とも言います。この部分のトタンを撤去します。



瓦棒では軒先の部分に水が侵入し易く、劣化があります。この部分は切断して、多々らしい木材を継ぎ足します。



軒先部分の接ぎ木



軒先部分は、従来の瓦棒では無かったのですが雨水が侵入しないように、先をカシメていあります



トタンを撤去せず、透湿シートを施工しながらガルバリウム鋼板を施工



同:



カッパ部分を施工して完成



カッパ部分を施工して完成



棟部分;施工して完成



完成です。


瓦棒; 簡単な部分の説明です。

・トタン屋根は、正式には、瓦棒形式の屋根で、かつてはトタン(溶融亜鉛)が主流の屋根材でした
・瓦棒形式の主な部分は、棟部分、一番広い部分、ちょっと凹んだ部分に水が流れる部分を「ドブ」
と言います。
・30mmほど、出ている部分をカッパ部分と言います。 瓦棒とも言ってこの屋根形式の名前でも
あります

トタンの空気断熱工法(夏の暑さ対策に)

トタン屋根は、どうしても太陽の熱射を鋼板で受けているので、特に夏は暑く、表面の温度は70度~80度
にもなります。 このトタン屋根をなんとか、費用をかけずに、断熱をしてトタンの葺き替えをする方法
に良い工法があります。トタン屋根の「空気断熱工法」と言います。簡易カバー工法と考えは同じで成る
べく費用をかけずに、トタン屋根を夏の暑さから逃げる工法で、断熱材を施工するのを簡単に思いつきま
す。問題は費用対効果で、安い費用でなるだけ良い効果を出す方法の最右翼にあるのが、この空気断熱工
法です。屋根で断熱をするのは、実は大変厄介で、国土交通省(旧建設省)が定めた次世代エネルギー基
準では、この工事の地域区分;IV地域での屋根での断熱は、一番優秀な硬質ウレタンフォームで屋根の断
熱をすると、115mmの厚さの硬質ウレタンフォームが必要になります。115mmって、約11cmの厚みがあり、
屋根全体がトタン屋根全体が10cm高くなることを意味しています。・・・これは屋根だけの話です。
(つまり他、壁、床、窓など断熱しなくてはならない箇所が他にもあることを言っています)

10cmの断熱材を施工するには、屋根を改造し、雨樋を掛け直しと、費用がうなぎのぼりです。そのように
真面目に屋根や部屋、家を断熱するとは、大変な事業なのです。ここは理解した上で、トタン屋根で夏太
陽からの熱射を軽減する方策について、述べています。コスト重視で今の材料でトタン屋根の暑さ対策で、
一番低価格でできる方法が、断熱材に空気層を使うことなのです。 実際には、どのくらい温度が下がる
のか?どのくらい夏凌ぎやすくなるのか?それは、実は屋根だけの問題ではなく、その部屋の外壁、窓か
らの太陽光の影響などなどを考えないとわからないのです。(窓からの熱の流入は実は大きいという論文、
学者の意見も多くあります)



古い既存のトタン屋根です



この上に遮熱シートを施工します。断熱ではなく、上に施工するガルバリウム鋼板の輻射熱を反射する効果があるとされています。費用は僅かなので、施工します。



遮熱シートと新しいコンパネ(下地材)との間に空気層(断熱層)を設けます



間は、桟木の高さ、35mmです。



コンパネ(下地材)を施工したところ



下地材にルーフィング(防水材)を施工



防水材が施工完



更に瓦棒形式なので、桟木を施工つまり、トタン屋根+遮熱シート、コンパネ+ガルバリウム鋼板で幾重にも屋根材が
かさなります。断熱、遮熱の効果を期待です。



瓦棒形式のガルバリウム鋼板施工



同;瓦棒形式のガルバリウム鋼板施工





カッパ部分を被せて完成です



瓦棒形式のカッパ部分を全て施工して完成です。
軒先部分は、今までの瓦棒より、劣化の少ない
軒先部分に絞り、カシメを採用しています。



軒先部分、カッパの軒先部分からの
雨の侵入をより少なくした形状です



同;軒先部分の形状
古いトタン屋根、瓦棒では、ここの形状が
四角でした、ですから雨による劣化が進んでしまう
心配(実際に進んでいました)をかなり軽減



なんと名前を言えば良いのか?トタン屋根;瓦棒形式をガルバリウム鋼板での瓦棒形式に葺き替え完了です。

トタン屋根・トタンの組成と劣化



トタンは、亜鉛メッキで鋼板を守っています。因みに、鋼板を錫メッキしたものがブリキです。

トタンの表面には、塗装が施されいます。 この塗装層は、顔料+樹脂+溶剤で構成されていて色のもと
は顔料、樹脂は、塗膜主要素で、塗膜が固まる元になる成分、この樹脂の特徴が耐候性や柔軟性、耐水性
などの塗膜性能を決定づけます。 今、塗料に用いる樹脂のほとんどが石油から作られる合成樹脂で、ア
クリル塗料、ウレタン塗料、シリコン塗料、フッ素塗料などはこの樹脂名のことです。 信頼できる屋根
屋は、きちんと溶剤はこれらの原料を混合させ、広く拡散させるためのもので、塗装をしたあとは蒸発し
て無くなります。

このトタンの塗装が劣化し、剥がれる原因の最大のものは、太陽からの熱線と紫外線です。 塗料の中の
樹脂はこの紫外線と熱で分解され、少しづつなくなってしまいます。トタン上に塗装され、ある期間経過
した塗膜の表面が白いチョークのように粉化したりするのは、チョーキング゙(白亜化)と呼ばれている現
象で、トタン上に塗膜を形成している樹脂が分解したために、塗膜中に分散されていた顔料粒子が塗膜か
ら外に出されてしまった為に起こる現象です。

樹脂の分解はどうして起きるのでしょうか? 樹脂の分解は空気中にある酸素によって起こされますが、
その分解を促進しているのが光と熱なのです。 (瓦葺き替えについてはこちら)

トタン屋根の劣化の仕組み(錆び、雨漏り)

ただ錆易く再塗装が必要なのが難点です。今回は、このトタンの劣化の様子と仕組みを解説します。また
屋根の基本構造と耐用年数については、別サイト「屋根の構造、耐用年数について」を見てください。

●トタンの亜鉛メッキの防蝕

陶器瓦(釉薬瓦)、素焼き(無釉薬瓦)は、60近く寿命がありますが、その前に下地やルーフィング(下
葺き材)という屋根材の耐用年数が来てしまいます。上の写真左は、築40年素焼き瓦を数枚外したところ
です。 下地(野地板)が使われていて、瓦に損傷はないですが、ルーフィングは、40年前のもので塩ビ
のシートのようですが、完全に朽ち果てています。 この状態を見たらその他のところもルーフィングは
ほぼ同じように朽ち果てていると考えてしまいます。右は、セメント瓦で元は緑に塗装がしてあったと思
われます。ルーフィングは、交換されていました。しかし、下地材がボロボロで腐って無くなっていまし
た。

セメント瓦は、まだ使えそうなものが多いのですが、他の箇所も点検しましたら、下地材が同じようなこ
とになっていたため、瓦を含めて屋根葺き替えを実行しました。 築45年のお宅でした。

亜鉛メッキのトタンに塗装と亜鉛メッキに傷が付いたときその様子と亜鉛メッキがない鉄(鋼鈑)の場合
とでは、右のように、亜鉛メッキがある方は、亜鉛と鉄では、イオン化傾向が亜鉛の方が高いので、先に
イオン化され鉄を保護します。 鉄のみの場合は、鉄は酸化(錆)されその酸化鉄は、粗く大きいので塗
装を剥離させてしまいます。

トタンの亜鉛メッキの厚さは、8-20μmで、鉄を保護しますが、メッキ自体の腐食は避けられません。亜鉛
が酸化してできる酸化亜鉛は、被膜となりますが、その被膜も腐食されます。そして次に現れた亜鉛がま
た酸化されて被膜となりまた被膜も腐食してとそのサイクルをくりかえすこと、トタンの塗装層と亜鉛メ
ッキの寿命は、10年といったところ。しかし、亜鉛メッキが終わる前に再塗装をして、亜鉛メッキを守り
たいところです。塗装が剥げたら再塗装ですね。

●トタン屋根から他の屋根材料へ葺き替え

トタン;溶融亜鉛メッキの屋根を瓦棒という屋根形式を変えずに葺き替え工法を説明してきました。では
、トタン屋根は他の材料もできないのか?当然の質問と思います。トタンを撤去して、撤去せず、両方の
工法がありますが、一番問題になりのは、屋根材の重量です。

トタンやガルバリウム鋼板等の金属材料の重さは、厚さがトタンもガルバリウム鋼板も0.35mmと非常に薄
い鋼鈑で、その重さは、トタン、ガルバリウム鋼板ともほぼ同じで、平米あたり、3Kgです。スレート、コ
ロニアル、カラーベストでは、20Kg、それに対して、和瓦は、種類にもよりますが、約50Kg、トタンやガ
ルバリウム鋼板は、瓦に対して、その重量は、1/10以下と非常に軽い屋根材であります。ですから家の
柱、梁もそんなに重厚で、強度の物を使わなくても、大丈夫なのですが、いざ屋根の葺き替えのときには、
この家の重さに対する心配をしなくてはなりません。

少なくとも重量的に、和瓦はだめで、スレート、コロニアル、カラーベストもやめておいた方が無難です
すると、選択は、金属系の軽い屋根材ということになります。がっかりすることなかれ、金属屋根材は現
在会社でいうと、12、3社あり、その製品の種類はかなり豊富です。問題のあるスレート系は、選択しな
い方がよいので、金属系は選ぶ範囲であり、世の中のトレンドでもあります。

製品も性能も種類の豊富なガルバリウム鋼板屋根材:

提携の屋根屋さんが使う、またはお客様が指定するガルバリウム鋼板屋根材は、主に次のメーカーと製品
です。

・株式会社ニチハ; 横暖ルーフシリーズ、かつては、横暖ルーフ/きわみは大変良く施工しました。
・稲垣商事; ヒランビー;価格の安いのが魅力です
・アイジー工業; ガルテクト
・福泉工業; efルーフ
・セキノ興産; ダンネツトップ
・日本ルーフ; 瓦調のガルバリウム鋼板、他にもガルバリウム鋼板の横葺き
・ビルドマテリアル; GMルーフ、色の指定ができるのが魅力であり特徴
・月星商事; 日新製鋼の販売会社で、ガルバリウム鋼板の横葺き製品
・JFE鋼鈑; ガルバリウム鋼板の製造メーカーで独自で屋根材も製造
・新日鉄住金鋼鈑; ガルバリウム鋼板の製造メーカーで独自で屋根材も製造

いろいろ会社があり、各製造、販売メーカーも競って良いガルバリウム鋼板屋根材を開発しています。ト
タン屋根に代わるガルバリウム鋼板、その葺き替え方法は?上に上げたガルバリウム鋼板の屋根材は、ほ
とんどが横葺き、3.6m、1.8mで幅が250mm~300mm程度の製品を横方向に施工するタイプで、ガルバリウ
ム鋼板屋根材の主流をなしています。ガルバリウム鋼板の縦葺)トタン屋根の瓦棒形式は、全て縦葺と言
って、屋根の棟から、下に謂わいる、縦方法に施工するタイプです。瓦や、スレート、コロニアル、カラ
ーベストには、縦葺という製品はありません。

金属屋根材特有の工法、製品になります。元もトタン屋根は、屋根勾配が緩やかな屋根に対して施工され
る屋根材で、勾配が2.5寸以上急な屋根であれば、横葺きのガルバリウム鋼板屋根材製品が全て使用でき
ます。しかし、もし屋根の勾配が 2.5寸より緩い場合には、雨漏りの遠因となり、メーカー保証や施工保
証が受けられないかもしれません。ですのでこの場合は、金属の縦葺製品を選択する他はありません。